【外国人労働者数は初の200万人超え】という見出しで、令和5年に厚生労働省が「外国人雇用状況」のまとめを公表しまた。
令和5年10月末時点で、外国人労働者数は 2,048,675 人。前年比 225,950 人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。
外国人を雇用する事業所数は 過去最高の318,775 所。前年比 19,985 所増加となりました。
国籍別では、ベトナムが最も多く518,364人(全体の25.3%)。次いで中国397,918人(同19.4%)、フィリピン226,846人(同11.1%)の順です。
厚生労働省によると、外国人労働者の数は2013年以降、11年連続で過去最多を更新しています。
データを見るだけでも、日本で外国人労働者の必要性が年々高まっているのは事実です。しかし、依然として多くの人々が外国人労働者に対してマイナスのイメージを抱いており、この外国人労働者受け入れ問題についてどのように考えるべきか、戸惑う人が少なくありません。
そのような状況の中、近年ようやく外国人労働者がメディアに取り上げられたりと、注目を集めるようになってきました。ここでは、その理由や、外国人労働者の必要性と課題について解説します。
なぜ今、外国人採用が注目されているのか
入管法改正により外国人採用に注目
今年(令和6年)6月に、入管法と関連法が大幅に改正されました。主な焦点は、「技能実習生法の抜本改正」と「『育成就労』の在留資格の創設」です。
- 技能実習生法の抜本改正
- 『育成就労』の在留資格の創設
この入管法改正に関するニュースが連日報道され、外国人労働者は一気に注目を集めました。以前にも、2019年の入管法改正で「特定技能」の在留資格が創設され、多くの注目を集めました。
2019年と2024年の入管法改正の重要な焦点は、外国人労働者の受入拡大です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査「資料シリーズNo.235 外国人労働者の雇用状況に関する分析」には下記ような内容が掲載されています。
これまで外国人労働者の受入れについては、人手不足への対応として受け入れることは適当ではなく、国内の労働力需給の改善に資するよう、省力化、効率化、雇用管理の改善などによって対応するという国民的なコンセンサスが成立していたように思われるが、第16循環の景気のピーク時には、外国人労働者を即戦力として受け入れようとする認識も広がりをみせた。
つまり、人手不足の解決策として外国人労働者を受け入れるかどうかの議論が続いており、「人手不足への対応としての外国人受入拡大」にゴーを出したのが、2019年と2024年の入管法改正でした。
これが、外国人労働者への注目を集めた理由です。
中小企業を中心にニーズが増えている外国人採用
日本全国で、約31万の事業所が外国人を雇用しています。外国人を雇用する事業所数を事業所規模別にみると、日本で働く外国人労働者の3人に1人は従業員30人未満の小規模事業所で働いています。100人未満の事業所になると更に増えて、外国人労働者数全体の55.4%になります。
外国人労働者の3人に1人は、従業員30人未満の小規模事業所で働いています!
外国人を雇用する事業所数を事業所規模別にみると、外国人を雇用する事業所のうち、従業員30人未満の小規模事業所が全体の61.9%となり、前年比で 7.5%増加。
また、外国人労働者の総数からの割合で見ると、「30人未満」規模の事業所で就労する者が最も多く、外国人労働者数全体の 36.1%となっています。(令和5年10月末時点)
日本の人手不足が拡大し、特に小規模事業者で外国人労働者のニーズが増えていること。
外国人労働者を受け入れる業界は、製造業、サービス業、小売業、飲食サービス業、建設業などが多く、特定技能1号・2号が始まってから更に人数は伸びています。
外国人労働者を受入れている事業所の多くは「日本人を雇いたいが、求人を出しても応募が無い」「社員が高齢化し、若者は定着しない」などの理由から、外国人雇用に踏み切っています。また、従業員の半数以上が外国人社員という会社もめずらしくありません。
外国人が働いているのは、大企業や外資系企業というイメージが強いかもしれませんが、実は大企業で働いている外国人労働者は少なく、数多くの中小企業に雇われています。
このように外国人労働者は中小企業の戦力であり、日本の社会に密着しているのです。
外国人採用における一般的な課題
外国人採用に関する圧倒的な情報不足
2019年以前は、外国人労働者についてのニュースが大々的に報道されることは少なく、ほとんどの国民が、「知らない間に近所に外国人が増えている」という状況でした。近年、入管法改正などで注目されることにより、外国人労働者について詳しく知りたいというニーズが増えてきました。
しかし、外国人採用に携わる一部の人を除いて、外国人労働者について、わかりやすい情報を入手することは困難であり、これが日本の外国人採用における大きな課題となっています。
悪質なブローカーの横行
外国人労働者を採用する際に、正しい知識がなければ、悪質なブローカーに騙されてしまう、もしくは必要以上にお金を取られてしまうこともあります。また、外国人労働者を紹介だけしてアフターフォローがない業者と取り引きした場合、外国人と企業の間のトラブルを解決できなくて、双方が嫌な思いをしてしまうケースもあります。
地域での外国人受け入れの課題
外国人住民を受入れる地域でも、情報不足による問題が起きています。厚生労働省のデータでは、外国人労働者の前年比を都道府県別に見たときに、青森が28.7%、北海道が27.4%、秋田が26.5%増加しています。(令和5年10月末時点)外国人は東京などの都市に住んでいるイメージですが、実際には地方の方が増えているのです。もともと外国人住民が少ない地域に外国人が増えているので、外国人住民に対してどう対応して良いか分からないといった声もあります。
地方公共団体では、国際化や多文化共生に向けた専門部署をつくり、外国人住民との共生のために様々な取り組みをしています。しかし、住民の意識までは届いていないこともあります。
日本語教育の不足
日本では、在留外国人に対する日本語教育の支援が行き届いていないという課題があります。日本語ができなければ、地域社会や職場に溶け込むことは難しいため、孤立してしまいます。この日本語教育については、まだまだ多くの人の理解と助けが必要です。
最近では地方公共団体が運営するボランティアの日本語学校も増えています。今年(令和6年)4月から「登録日本語教員」という日本語教師の国家資格が施行され、「日本語教育」が話題になっています。
外国人労働者と共に発展する社会に向かうために
外国人は日本企業にとって重要な戦力
ガイア国際センターでは、2012年から高度外国人材の支援を始め、2024年までに1500人以上の外国人の就職を支援してきました。その中で、数多くの成功事例を見てきました。
- 日本語教育と日本式マナー、専門知識の習得を強化(日本式マナー研修センター4カ国9拠点)
- 外国人採用後の企業と外国人に寄り添う支援
外国人労働者の約40%は、20代の若者です。外国人労働者の多くは、自国の家族を背負って働く若者たちなのです。
その人たちの熱意とポテンシャルに気づき、自社の戦力として育成できた会社が外国人雇用に成功しています。ガイア国際センターでは、外国人雇用の成功事例を研究テーマとして紹介しています。
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