障がい者雇用の可能性― 制度の現状と経営者が今考えるべきこと
障がい者雇用の現状と可能性についてまとめました。
法定雇用率は段階的に引き上げられている
障害者雇用促進法にもとづく民間企業の法定雇用率は、ここ数年で着実に引き上げられてきました。
- 2021年3月:2.3%
- 2024年4月:2.5%(対象:常時雇用40人以上の企業)
- 2026年7月:2.7%へ引き上げ予定(対象:常時雇用37.5人以上の企業)
これにより、これまで対象外だった従業員30人台後半の中小企業も、新たに雇用義務を負うことになります。
法定雇用率を満たさない企業には、障害者雇用納付金の納付義務が生じるほか、ハローワークによる指導や雇入れ計画の作成命令の対象となる場合があります。
リスク管理としての側面
納付金や行政指導、企業名公表といったリスクを踏まえると、障がい者雇用はもはや「対応するかどうか」ではなく「いつ、どう体制を整えるか」という実務課題です。対象拡大のタイミングを見越して早めに動く企業ほど、無理のない形で制度に対応できます。
人手不足時代における障がい者の「戦力化」
慢性的な人手不足が続く中、障がいのある方々を単なる法定雇用率の充足要員として捉えるのではなく、いかに「戦力化」するかが企業の実力を左右する時代になっています。
業務を細かく分解し、得意な作業に集中してもらう「業務の切り出し」を行うことで、既存社員がコア業務に専念できるようになり、組織全体の生産性が上がるケースも少なくありません。
適切な配置と教育体制が整えば、障がいのある社員が現場を支える戦力として長期的に定着し、人手不足の解消に直結する例も出てきています。「雇用すること」がゴールではなく、「戦力として活躍してもらうこと」を見据えた体制づくりこそが、これからの経営に求められています。
採用ブランディングとしての側面
多様な人材が力を発揮できる職場づくりに取り組む企業は、採用市場でも評価されやすくなっています。障がい者雇用への真摯な取り組みは、社会的責任(CSR)としてだけでなく、企業のブランドイメージや従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
助成金の活用
障がい者を雇用する際には、雇入れにかかる助成金や職場定着のための支援制度が用意されています。制度を正しく理解し活用することで、体制整備のコストを抑えながら取り組みを進めることができます。
障がい者雇用について学ぶ工場見学【日本理化学工業】




7月15日、ガイア国際センターのメンバーは、ダストレスチョークで知られる日本理化学工業株式会社の川崎工場を見学する機会をいただきました。今回の工場見学で、障がい者雇用について多くのことを学びました。
同社は従業員の約7割が知的障がいのある方という、障がい者雇用の先進企業として知られています。当日は社長自らが工場を案内してくださり、障がい者雇用に取り組み始めた歴史的な経緯や、その根底にある考え方について、直接お話を伺うことができました。
とりわけ印象に残ったのは、「保護する対象」ではなく「共に働く仲間」として社員一人ひとりに向き合う姿勢です。
作業工程には、文字が読めなくても色や形、重さの違いだけで判断できるよう工夫が凝らされており、「その人に合わせて仕事を変える」という発想が随所に息づいていました。
特別な配慮というよりも、誰もが力を発揮できる仕組みを当たり前に作り込んでいる点が印象的でした。社員の表情や工場の雰囲気からも、一人ひとりが役割と誇りを持って働いていることが伝わってきました。
日本理化学工業株式会社は1937年創業のチョーク製造会社で、ダストレスチョークや「キットパス」などが有名です。従業員の約7割が知的障害者で、雇用率の高さと働きやすい仕組み作りで「日本でいちばん大切にしたい会社」として広く知られています。
ガイア国際センターの障がい者定着支援事業
ガイア国際センターでは、これまで外国人材の有料職業紹介事業で培ってきた「受け入れ企業との信頼構築」と「本人・企業双方に寄り添う定着支援」を、障がいのある方々の就労支援にも活かす取り組みを進めています。単に人材を紹介して終わりにするのではなく、企業様と障がいのある方の間に立ち、入社後の職場定着まで伴走することを重視しており、社内ではジョブコーチ養成研修への参加も進めています。
外国人雇用支援で積み重ねてきた経験は、障がい者雇用の定着支援においても大きな強みになると考えています。
