
日本に滞在する外国人の歴史をご存じでしょうか?
2024年末のデータで、日本に住む外国人の数は376万にのぼりました。1990年には、日本に住んでいた外国人は88万人程度でした。約30年で日本に住む外国人が288万人増加、4.3倍に増えています。
しかし、変わったのは数だけではなく、日本に来る外国人の傾向も変化してきています。
さらに、国際化が進み、「外国にルーツを持つ日本人」も増えています。
今や、外国人を知らなければ日本の歴史は分からないのではないでしょうか。
この記事を読んで、町で見かける外国人がどんな人なのか、興味を持っていただけたら幸いです。
- 1980年~2000年代にかけてどのように在日外国人の歴史が移り変わったのか
- 2020年代に起きた大きな変化について
- 現在最も多い外国人労働者の国籍と在留資格(2024年末現在)
時代と共に移り変わる外国人の国籍や在留資格
日本に住む外国人の傾向は、どんどん移り変わっています。
戦後、日本で最初の入管法ができたころの外国人というと、在日韓国・朝鮮人(現在の特別永住者など)がほとんどでした。また、ボートピープルと呼ばれるベトナム、ラオス、カンボジアなどからの難民(インドシナ難民)の受入れが始まりました。その後、1990年代に入管法が改正されてからは、南米のブラジルやペルーなどから来る日系人の子孫(定住者)、日本人と結婚した人やその子供、フィリピンなどから来る興行(エンターテイナー)ビザを持つ人たち、そして技能実習生が始まり、中国などからの研修生が増えました。ニューカマーと呼ばれる人たちです。
1980年代まで
- 在日韓国・朝鮮人(現在の「特別永住者」)が中心
- 「オールドカマー」と呼ばれる
- ボートピープルと呼ばれるインドシナ難民の受入れも
1990年代
中心的な外国人と在留資格
- 南米のブラジルやペルーなどから来る日系人の子孫(定住者)
- 日本人と結婚した人やその子供
- フィリピンなどから来る興行(エンターテイナー)ビザを持つ人たち
- 中国などから来る技能実習生
- 「ニューカマー」と呼ばれる
2000年代には、政府が留学生の受入れを拡大する方針を進め、アジア諸国からの留学生が増えました。留学生のアルバイトが増えたことで、「コンビニ外国人」などの新しい言葉が生まれました。留学生が増え、日本の企業では、高学歴でスキルのある「高度人材」の受入れも拡大しました。また、外国人の増加にともない、不法滞在・不法就労の取り締まりが強化されるということもありました。
2000年代
中心的な外国人と在留資格
- 技能実習生
- 留学生のアルバイト
- 技術・人文知識・国際業務などの高度人材
このように、一般的に「外国人労働者」と言っても、どのグループの外国人を指すのかが時代と共に変化しているのです。外国人労働者は年々増え続け、2023年に200万人を突破しました。

「特定技能」創設(2019)後の外国人労働者の変化(2020年代)
2019年に入管法が改正され、「特定技能」という新しい在留資格が創設されました。
技能実習生の延長?と思われる人も多いと思いますが、この入管法改正が戦後の日本の外国人受入れの常識を覆すものでした。現場作業のできる労働者(高度人材ではなくいわゆるロースキルワーカー)として外国人を海外から呼び寄せることが可能になりました。日本が本格的に人手不足解消のために外国人の手を借りようと舵を切ったのは、これが初めてのことです。
今まで現場での外国人受入れがほとんどできなかった「レストラン・外食業」に始め、人手不足の深刻な業種での外国人受入れが始まりました。
2019年を皮切りに、法改正、ガイドライン追加が続き、今までタブーとされてきたトラック・タクシーの運転手としても特定技能の受入れが可能になりました。
2019年
- 在留資格「特定技能1号・2号」創設
- 単純労働・現場作業の外国人を海外から呼び寄せることが可能に
また2024年、日本は「技能実習制度(旧研修制度)」を廃止し、新たに「育成就労」という在留資格を創設することを決定しました。これは、戦後50年以上続いてきた旧制度に代わるもので、育成就労制度の主な目的はの人手不足の解消と人材育成です。
2024年
- 技能実習生廃止決定
- 在留資格「育成技能」創設
- 自動車運送業分野(タクシー・トラック運転手など)の業種を特定技能に追加
現在の外国人労働者のデータ(2024年末)
外国人労働者の在留資格別の比較グラフと、外国人労働者の国籍別のグラフです。在留資格別のグラフから、就労ビザを持つ外国人労働者の割合が約半数を占めていることがわかります。また国籍別のグラフからは、東南アジア諸国からの外国人労働者が全体の約半数を占めていることがわかります。(注:グラフは在日外国人全体のデータではありません。)
在留資格別の比較

上のグラフは、外国人労働者の在留資格別の割合です。
現在は、技能実習生や技人国(高度人材)、特定技能などの「就労目的のビザ」を持つ外国人労働者が約半数となっています。30年前は、外国人労働者のほとんどが「定住者」「永住者」などの身分に基づく在留資格でした。
30年前と現在では、外国人労働者の資格が違う理由は、就労ビザが創設されたことにより外国人労働者の数が全体的に増えていること、定住者や永住者の外国人の高齢化や帰国などが挙げられます。
国籍別の比較

上のグラフは、外国人労働者の国籍別の割合です。
現在は、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどの東南アジア諸国からの外国人労働者が全体の約半数となっています!
ベトナムが2020年に中国を抜いて最多になりました。国籍別では依然としてベトナム・中国・フィリピンが多いです。また、2024年に特に増加率が高かった国は、ミャンマー・インドネシア・スリランカです。今後も順位が入れ替わる可能性があり、注目していきたいところです。
2024年に特に増加率が高かった国
- ミャンマー (61% UP)
- インドネシア (39.5% UP)
- スリランカ (33.7% UP)
ガイア国際センターでは増加率の高かった国に日本式マナー研修センターがあります。各国の様子をご紹介しています。是非、ご覧くださいミャンマー、インドネシア、スリランカ
まとめ
現在、日本には376万人という数の外国人が住んでいます。また外国にルーツを持つ日本人も増加しています。多くの方が肌で感じていると思います。
是非、職場や町で身近にいる外国人がどんな境遇で日本に来ているのか?、なぜ日本に来たのか?、日本に住む外国人に興味を持っていただけたら幸いです。
私たちは外国人との幸せな共存を実現していきたいと考えています。
ガイア国際センターでは、安心して外国人労働者を受け入れられる体制づくりから支援しています。企業の明るい未来を一緒に考えませんか?お気軽にご相談ください。